この記事のポイント
- Amazon PPCは「検索語 → 入札・CPC → 予算 → 掲載枠」の順に原因を分解すると改善しやすい
- 広告キーワードだけでなく、ユーザーが実際に入力した検索語を確認する
- 関連性の低い検索語は除外し、成果につながる検索語は管理しやすい形へ整理する
- 入札は一律に上下させず、クリック・注文・ACOSなどの実績から判断する
- 予算不足と広告効率の悪化は別の問題として考える
- 変更後は一定期間データを確認し、継続的に改善する
Amazon PPCは、キャンペーンを作成して配信を開始すれば終わりではありません。広告を配信すると、検索語、クリック、CPC、注文、広告費、売上などのデータが蓄積されます。これらを確認しながら、成果につながる配信へ調整していく必要があります。
ただし、ACOSが高いからといってすぐに入札を下げたり、売上が少ないから予算を増やしたりすると、原因を解決できない場合があります。重要なのは、検索語・入札・予算などを順番に確認し、広告成果を妨げている要因を切り分けることです。
本記事では、Amazon PPCを最適化する手順を、検索語の精査、除外キーワード、入札額・CPC、予算、掲載枠の順に解説し、広告運用を継続的に改善する方法をご紹介します。
Amazon PPC最適化とは?
Amazon PPC最適化とは、広告配信後に得られたデータをもとに、不要な広告費を抑えながら、成果につながる検索語・キーワード・商品ターゲットへ広告費を配分していく作業です。
単純にACOSを下げることだけが最適化ではありません。広告の目的によっては、売上拡大のために一定の広告費を許容する場合もあります。
Amazon PPC最適化の基本
「広告費を減らす」ことではなく、成果につながる広告費と、成果につながりにくい広告費を分けることが重要です。
まだキャンペーンを作成していない場合は、先に Amazonスポンサープロダクト広告の始め方 でターゲティング・予算・入札の基本設定を確認してください。
また、Amazon PPCのキーワード調査や入札調査、分析をどのようなツールで効率化できるかについては、 Amazon PPCツール活用ガイド で詳しく解説しています。
Amazon PPCを最適化する前に目標を確認する
広告を改善する前に、まず「何を改善したいのか」を明確にします。
たとえば、同じキャンペーンでも次のような目的があります。
- 広告経由の売上を増やしたい
- 利益を確保しながら広告を運用したい
- 無駄なクリックを減らしたい
- 特定キーワードからの販売を増やしたい
- 新商品の販売機会や検索語データを増やしたい
目的が違えば、許容できるACOSやCPC、必要な広告量も変わります。
特にACOSを改善指標として使う場合は、商品の利益構造から目標水準を考える必要があります。ACOSの計算式や損益分岐点については、 Amazon広告のACOSとは?計算式・損益分岐点・目標ACOSの考え方 を参考にしてください。
Amazon PPCはどの順番で改善する?
広告成果が悪いときに、すべての設定を一度に変更すると、何が成果に影響したのか分かりにくくなります。
基本的には、次の順番で確認すると原因を整理しやすくなります。
| 順番 | 確認項目 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 1 | 検索語 | 何に広告費を使っているか確認する |
| 2 | 除外キーワード | 関連性の低い広告配信を抑える |
| 3 | 入札・CPC | クリック獲得コストを調整する |
| 4 | 予算 | 成果の高いキャンペーンへ広告費を配分する |
| 5 | 掲載枠 | 表示位置ごとの成果差を確認する |
実際の改善順序はキャンペーンの状況によって異なります。ただし、「ACOSが高いから入札を下げる」と一つの数字だけで判断せず、まず原因を分解することが重要です。
Amazon PPCは、検索語から原因を切り分け、入札・予算・掲載枠へ順に確認すると改善しやすくなります。
STEP1|検索語を精査する
Amazon PPC最適化で最初に確認したいのが、ユーザーが実際にどのような検索語で広告をクリックしたかです。
特に部分一致やフレーズ一致、オートターゲティングでは、広告主が設定したキーワードと実際の検索語が完全に同じとは限りません。
検索語を見る際は、次のように分類すると改善しやすくなります。
| 検索語の状態 | 確認すること | 検討する対応 |
|---|---|---|
| 注文につながっている | ACOS・CVR・注文数は十分か | 継続、個別キーワード化などを検討 |
| クリックはあるが注文が少ない | 関連性、クリック数、CPC、商品ページ | 入札調整や継続可否を検討 |
| 商品と関連性が低い | 検索意図が商品と一致しているか | 除外候補として検討 |
| 新しい有望語 | 関連性と販売実績 | マニュアルターゲティングへの追加を検討 |
重要なのは、「注文がない検索語をすべて停止する」という機械的な判断をしないことです。
検索語は注文の有無だけでなく、商品との関連性やデータ量も確認して判断します。
クリック数が少なければ判断材料が十分ではない場合があります。一方、商品との関連性が明らかに低い検索語で広告費が発生している場合は、早めに見直す価値があります。
成果のある検索語はキーワード候補として管理する
オートターゲティングや部分一致から、商品との関連性が高く、実際に注文につながる検索語が見つかることがあります。
このような検索語は、マニュアルターゲティングで個別に管理する候補になります。
キーワードをどの広告グループ・マッチタイプへ振り分けるかについては、 Amazon PPCのキーワード選定方法 で詳しく解説しています。
STEP2|除外キーワードで不要な広告配信を抑える
検索語を確認して、商品と明らかに関連性が低い検索や、継続的に広告費を使っても成果につながりにくい検索が見つかった場合は、除外ターゲティングを検討します。
除外キーワードは、広告を表示したくない検索を指定し、不要なクリックを抑えるための設定です。
除外を検討しやすいケース
- 商品カテゴリーそのものが異なる
- 自社商品にはない機能・サイズ・用途を求めている
- 検索意図と商品が明らかに一致していない
- 十分なデータが蓄積されても広告費だけが継続して発生している
除外キーワードの目的は、単にクリック数を減らすことではありません。
購入につながる可能性の低い検索への広告配信を抑え、より関連性の高い検索へ広告費を使いやすくすることが目的です。
除外しすぎにも注意する
ACOSを下げたいからといって、短期間で注文が発生していない検索語を次々に除外すると、将来の販売機会まで失う可能性があります。
検索意図との関連性、クリック数、広告費、注文状況などを確認したうえで判断しましょう。
STEP3|入札額とCPCを見直す
検索語を整理したら、次に入札額と実際のCPCを確認します。
入札を調整する際は、すべてのキーワードを一律に上げたり下げたりするのではなく、ターゲットごとの成果を確認します。
| 状態 | 考え方 |
|---|---|
| 成果が良いが露出が少ない | 入札を含め、掲載機会を増やせる余地があるか確認 |
| クリックが多くACOSが高い | 関連性・CVRを確認したうえで入札調整を検討 |
| 表示・クリックがほとんどない | 入札水準や検索需要、関連性を確認 |
| 目標ACOS内で安定している | 過度に変更せず、継続して推移を確認 |
CPCが高いからといって必ず入札を下げるわけではない
CPCが高くても、CVRが高く、十分な利益を確保できているキーワードであれば、そのクリックには価値がある可能性があります。
逆にCPCが低くても、購入につながらないクリックばかりであれば、広告費を有効に使えているとはいえません。
CPCの高低だけで判断せず、CVRや商品利益を含めて広告採算を確認します。
CPCは単独ではなく、「CPC × CVR × 商品利益」の関係で考えることが重要です。
現在の入札水準を確認する
広告配信を続けていると、市場競争や時期によって入札環境が変化することがあります。
実績CPCだけでなく、現在の推奨入札額なども確認すると、自社の設定が市場の入札水準から大きく離れていないかを判断する材料になります。
SellerSpriteの「キーワードCPC入札リサーチ」では、ASINからAmazonの推奨キーワードを調べたり、任意のキーワードについて推奨入札額を確認したりできます。
SP・SBや完全一致・フレーズ一致・部分一致など条件別の入札情報を確認できるため、現在の入札設定を見直す際の参考として活用できます。
なお、推奨入札額は実際に発生したCPCそのものではありません。広告管理画面の実績CPCと分けて確認しましょう。
キーワードCPC入札リサーチを見るSellerSprite「キーワードCPC入札リサーチ」の画面イメージ
STEP4|広告予算の配分を見直す
入札とあわせて確認したいのが、キャンペーンごとの予算です。
ここで注意したいのは、「予算不足」と「広告効率が悪い」は別の問題だということです。
成果の良いキャンペーンが予算不足の場合
目標とする広告効率を維持しながら注文につながっているにもかかわらず、予算によって配信機会が制限されている場合は、予算配分を見直す余地があります。
成果の悪いキャンペーンに予算を追加しない
一方、検索語の関連性が低かったり、クリック後に購入につながっていなかったりするキャンペーンは、単純に予算を増やしても広告費が増えるだけになる可能性があります。
先に検索語・ターゲティング・入札などの問題を確認してから、予算を判断します。
予算は「成果を改善する設定」というより、「どこへ広告費を配分するか」を決める設定として考えると整理しやすくなります。
STEP5|掲載枠ごとの成果を確認する
検索語・入札・予算を確認したら、必要に応じて広告が表示された掲載枠ごとの成果も確認します。
掲載位置によって、クリック率やコンバージョン率、ACOSなどに差が出る場合があります。
確認する際は、次のような指標を比較します。
- インプレッション
- クリック数・CTR
- CPC
- 注文数・CVR
- 広告費
- 広告経由売上・ACOS
特定の掲載枠だけを見て判断するのではなく、十分なデータがあるか、他の掲載枠と比べて継続的な差があるかを確認します。
Amazon PPCの改善サイクルを作る
Amazon PPC最適化は一度実施して終了する作業ではありません。
広告環境は、競合の入札、季節需要、価格、レビュー、商品ページ、在庫状況などによって変化します。
そのため、一定の周期で次の流れを繰り返します。
1|データを確認
検索語・CPC・注文・ACOS・予算などを確認
2|原因を特定
検索語、入札、CVR、予算など、どこに課題があるかを切り分ける
3|必要な項目だけ変更
除外、入札、予算などを調整
4|変更後のデータを確認
変更前後を比較して改善したか判断
複数の設定を同時に大きく変更すると、何が結果に影響したのか分からなくなります。変更内容と変更日を記録しておくと、後から比較しやすくなります。
Amazon PPC最適化でよくある失敗
ACOSだけを見て判断する
ACOSは重要ですが、ACOSが高い理由は一つではありません。CPCが高い、CVRが低い、検索語の関連性が低いなど、原因によって対応が変わります。
注文がないキーワードをすぐ停止する
データ量が少ない段階では、短期間の結果だけで判断すると販売機会を失う可能性があります。クリック数や広告費、関連性などもあわせて確認します。
すべての入札を一律に下げる
成果の良いターゲットまで一律に入札を下げると、必要な広告掲載機会まで減る可能性があります。ターゲット単位で実績を確認しましょう。
予算を増やせば売上も増えると考える
広告効率に問題がある状態で予算だけを増やしても、無駄な広告費が増える可能性があります。まずボトルネックを特定することが重要です。
変更を頻繁に行いすぎる
設定を短期間に何度も変更すると、どの変更が成果に影響したのか判断しにくくなります。データ量や販売サイクルを考慮しながら、変更後の結果を確認します。
Amazon PPC最適化に関するよくある質問
Amazon PPCは何から改善すればよいですか?
まず実際の検索語を確認し、広告費がどの検索に使われているかを把握します。その後、除外キーワード、入札・CPC、予算、掲載枠などを順に確認すると、原因を整理しやすくなります。
ACOSが高い場合は入札を下げるべきですか?
必ずしもそうではありません。検索語の関連性、CPC、CVR、商品利益などを確認し、ACOSが高くなっている原因を特定してから判断します。
除外キーワードはどのように選びますか?
商品と明らかに関連性の低い検索語や、十分なデータが蓄積されても広告費に対して成果につながりにくい検索語などを候補として検討します。短期間の結果だけで機械的に除外しないことも重要です。
CPCが高いキーワードは停止すべきですか?
CPCだけでは判断できません。CPCが高くてもCVRが高く、目標とする利益やACOSを確保できていれば継続する価値がある場合があります。
Amazon PPCはどのくらいの頻度で最適化すべきですか?
全商品に共通する固定の頻度はありません。販売量や広告費、データ量によって異なります。重要なのは、判断に必要なデータが十分に蓄積されているかを確認し、変更後の結果を比較できる周期で見直すことです。
まとめ
Amazon PPC最適化では、ACOSや売上だけを見て設定を変更するのではなく、検索語 → 除外キーワード → 入札・CPC → 予算 → 掲載枠と原因を分解して確認することが重要です。
特に検索語は、実際にどのような需要に広告費を使っているかを把握するための重要なデータです。成果につながる検索語を伸ばし、関連性の低い検索への広告費を抑えながら、入札や予算を調整していきます。
また、一度の改善で終わらせず、変更内容を記録し、変更後のデータを確認しながら継続的に改善することがAmazon PPC運用では重要です。
広告アカウント全体を一度整理して「どこに問題があるのか」を洗い出したい場合は、 Amazon PPC分析の広告アカウント診断チェックリスト も活用してください。

